Orchestra Asia / オーケストラ アジア

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オーケストラ アジアの世界

歴史を秘めた楽器たち

弦楽器(爪や撥で弾く楽器)

■中国

琵琶 (Pipa)
琵琶は古代ペルシャのウードという楽器を起源として中国から日本にも伝わった楽器で、同じ起源のものにリュートやギターがあります。今の中国の琵琶はスチールの4絃と多数のフレットを持ち、自在な演奏が可能なことは民族楽器の花形といえましょう。演奏法は5本指全部の爪の側につけた人工の爪で、閉じた指を外側に開くように絃をはじいて弾くのですが、たとえば日本の箏は爪を指の腹側のつけ開いた指を閉じるように弾く、というのと逆だと思えばわかりやすいでしょう。
琵琶 (Pipa)琵琶 (Pipa)
 
揚琴 (Yangqin)
ペルシャのサントゥールという楽器を起源とし、中国には17世紀頃伝わり、広東一帯に広まった後、中国全土に普及しました。135本のスチールの絃を2本のしなやかな竹の撥(ばち)で叩いて演奏します。ヨーロッパでいうツィンバロン族に入り、ピアノの遠い祖先といわれています。
揚琴 (Yangqin)揚琴 (Yangqin)
 

■韓国

伽耶琴 (Kayagum)
伽耶琴は韓国の「こと」で、伝統楽器の代表的なものです。日本の箏のような華やかな音色と違い、くぐもった、人間の感情を表すかのような深い音を持っています。ふつう使われているものは12絃ですが、オーケストラ・アジアでは近年改良された22絃のものを使っています。爪を使わず指で弾くことは従来どおりです。
伽耶琴 (Kayagum)伽耶琴 (Kayagum)
 
玄琴 (Komungo)
「こと」の形状をした楽器で、絃は6本。箸のような細長い撥(ばち)を使って演奏します。形から「こと」の仲間と思いがちですが、琵琶の仲間という説もあります。
 
 

■日本

琵琶 (Biwa)
日本に琵琶が伝えられたのは7・8世紀頃といわれ、雅楽の楽器として輸入されたものです。またこれとは別に南方から九州に伝わったものもあり、このふたつの流れの中から日本の琵琶が完成していきました。4〜5の絃とフレット(柱)を持ち、高く浮いた絃を深く押し込み、扇形の撥(ばち)で弾くこと、外形的には頸(くび)が曲がっていることなどが今の中国の琵琶と異なるところです。ちなみに正倉院の琵琶は五絃で、頸は真直ぐです。
琵琶 (Biwa)琵琶 (Biwa)
 
三味線 (Shamisen)
三味線は室町末期に堺に伝えられた琉球の三線(さんしん)が変化したものだとされています。以後の鎖国政策の中で、日本の邦楽は三味線を中心に独特な発展を遂げたのです。ちなみに最初に手にしたのが琵琶法師であったために、三味線にも琵琶と同じような撥(ばち)が使われるようになったそうです。
三味線 (Shamisen)三味線 (Shamisen)
 
箏 (Koto)
日本でふつう使われている十三絃の箏の歴史は、琵琶と同じく雅楽の楽器として伝えられたことから始まります。「オーケストラ・アジア」では1969年に生まれた二十絃箏を使っていますが、この楽器は従来の箏の音域はそのままに現代的な音階にも対応するように改良されたもので、この楽器の出現により箏の器楽的な性能は格段にアップしました。実はできて2年後には21絃に増やされ、以後そのまま定着しています。ちなみに中国をはじめアジア各地の箏は21絃が主流を占めています。
箏 (Koto)箏 (Koto)
 
十七絃 (Jushichigen)
1921年に宮城道雄が考案した低音用の17絃の箏で、邦楽器による合奏活動を盛んにする役割を果たしました。
十七絃 (Jushichigen)十七絃 (Jushichigen)
 

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